空室に悩むアパートオーナーからよく寄せられる相談
「もう1年以上空室が続いている。管理会社に相談しても「相場が下がっている」とばかり言われて改善しない」
管理会社の「相場が原因」という説明が正しい場合もありますが、実際は管理会社の集客力・提案力の問題であるケースも少なくありません。複数の管理会社に「今の物件を何ヶ月で埋められるか」を聞いてみることが、改善の第一歩です。
「家賃を下げ続けているのに入居が決まらない。もう何をすればいいのかわからない」
家賃を下げるだけの空室対策は収益悪化の悪循環に陥りやすいです。「写真・掲載情報の刷新」「フリーレントの設定」「入居対象の拡大(ペット可・外国人可)」など、費用をかけずに試せる施策が先です。
「サブリースに切り替えれば空室リスクがなくなると聞いたが、本当に収益は維持できる?」
サブリースへの切替で空室リスクはゼロになりますが、保証賃料は現行家賃より低くなるのが一般的です。重要なのは「空室が続いた場合の年間損失」と「サブリース保証賃料での年間収入」を比較すること。空室率30%以上なら切替が有利になるケースが多いです。
※ 上記はオーナーから寄せられる典型的な相談をもとに編集部が再構成したものです
はじめに
「空室がなかなか埋まらない」「退去が続いて収入が安定しない」——アパートオーナーにとって、空室は最も頭を悩ませる問題のひとつです。
少子高齢化が進む日本では全国的に住宅ストックが過剰になった影響で、賃貸住宅の空室率が上昇しています。従来通りに退去後の原状回復リフォームを行っても、新しい借り手が現れないケースが増えています。
ただし、正しい順番で対策を講じれば、空室は必ず改善できます。この記事では、コストをかけずにすぐできる対策から、費用をかけて長期的に効果を発揮する対策まで、10の空室対策を優先度順に解説します。
まず空室の原因を把握することが先決
空室対策を始める前に、「なぜ空室が続いているのか」を分析することが重要です。原因を特定せずに対策を打っても、効果が出ないことがあります。
主な空室の原因は以下の4つに分類されます。
- 募集・広告の問題:物件情報が十分に広まっていない、写真が古い
- 物件・設備の問題:競合物件と比べて設備が劣っている
- 賃料の問題:周辺相場と比べて割高になっている
- 管理・対応の問題:内見時の印象が悪い、仲介会社への働きかけが不足
まずは競合物件と自分の物件を比較し、何が原因かを特定したうえで対策を選びましょう。
空室対策10選

対策① 共用部の清掃・美化(コスト:ほぼゼロ)
内見の際に第一印象を良くするためには、まず目に入りやすい「エントランス」「ゴミ置き場」「駐車場」を清掃することが重要です。また、清掃をすることで生活環境がよくなり、退去防止にも効果的です。
内見に来た入居希望者が最初に目にするのは部屋の中ではなく、建物の外観と共用部です。エントランスが汚れていたり、ゴミ置き場が乱雑だったりすると、それだけで「ここには住みたくない」と感じさせてしまいます。費用をかけずにすぐ始められる対策として最優先で取り組みましょう。
対策② 物件写真・掲載情報の見直し(コスト:低)
新しく部屋探しをしている人が内見に行くかどうかは、賃貸物件の検索サイトに掲載されている情報や写真が判断材料になってきます。掲載情報が古くなっていないか、写真がわかりにくくないか、入居者の気持ちになってチェック・見直しをしてみましょう。
物件写真は広角レンズで撮影し直すだけで反響数が大幅に増えるケースがあります。360度パノラマ画像や動画の活用も有効です。掲載情報も最新の状態に保ち、設備・特徴をわかりやすく記載しましょう。
対策③ 募集窓口を複数社に広げる(コスト:低)
アパートや賃貸マンションで、入居者募集を1社だけの不動産会社に絞ってしまうと、空室が埋まりにくくなります。入居者を集めるのも確率論の問題なので、募集が1社だけだと、その分、空室が埋まる確率も減ってしまいます。近年、成功している不動産オーナーは、共通して複数の不動産会社に募集を依頼しています。
SUUMO・HOME’S・at-homeなど複数の賃貸ポータルサイトへの掲載も合わせて確認しましょう。
対策④ 入居条件の緩和・ターゲットの見直し(コスト:ゼロ)
入居条件を緩和したりターゲットを見直すことは、費用をかけずにすぐできる空室対策の一つです。「高齢者不可」や「外国人不可」の条件を見直し、入居者の幅を広げることで入居率向上に期待ができます。
また、ペット可物件は近年非常に人気があります。ペット可にすることで、特にファミリー層や若年層の入居希望者をターゲットにできるため、空室減少に期待ができます。ただし既存入居者の合意や原状回復ルールの整備が必要です。
対策⑤ フリーレント・初期費用の見直し(コスト:中)
フリーレントとは、入居後の一定期間(1〜2ヶ月程度)の家賃を無料にするキャンペーンです。入居希望者にとって初期費用の負担が減るため、他物件との差別化に有効です。
敷金・礼金をゼロにする「ゼロゼロ物件」も、初期費用を抑えたい層に響きます。賃料を下げるよりも収益への影響が限定的な場合が多く、試してみる価値があります。
対策⑥ インターネット無料・宅配ボックスの導入(コスト:中)
高速インターネット(Wi-Fi)と宅配ボックスは、単身者・ファミリーを問わず特に需要が高い設備です。導入のための工事・月々の使用料などは発生しますが、魅力的な物件と感じてもらえる効果も期待できます。
インターネット無料は今や「あって当たり前」の設備になりつつあります。未導入の場合は早急に対応を検討しましょう。
対策⑦ セキュリティ設備の強化(コスト:中)
セキュリティ対策として効果的なのは、以下の方法です。
- 防犯カメラの設置
- モニター付きインターフォンの設置
- センサーライトの設置
- アパート入り口に簡易的なオートロックの設置
- 防犯性が高いディンプルキーの採用
特に女性入居者はセキュリティを重視する傾向が強く、防犯カメラ1台の設置だけでも反響が変わるケースがあります。
対策⑧ ターゲットを絞ったリフォーム(コスト:中〜高)
「誰に住んでほしいか」を明確にしてからリフォーム内容を決めることが重要です。ターゲットを絞ったリフォームを実施することで、完成後すぐに成約となった事例も多くあります。
また、和室は家具が置きにくい等の理由から敬遠されがちです。和室を洋室化することで入居者募集に一定の効果があります。やみくもに費用をかけるのではなく、ターゲットのニーズに合わせた投資が効果的です。
対策⑨ コンセプト型・特化型物件への転換(コスト:中〜高)
入居者ターゲットを絞り込み、特化型の賃貸物件とするという空室対策があります。成功例としては「女性専用シェアハウス」「外国人専用アパート」などがあります。コンセプトを明確に打ち出すことで入居者から選ばれやすくなります。
シェアハウスへの転換は、空室が多い物件を一括で活用できる方法のひとつです。サブリース会社がシェアハウスとして運営するケースでは、オーナーが直接対応しなくて済む点もメリットです。
対策⑩ サブリースへの切り替えを検討する(コスト:低)
上記の対策を試みても空室が改善しない場合、あるいは管理の手間を根本的に解消したい場合は、サブリースへの切り替えを検討する価値があります。
サブリースは空室でも毎月一定の賃料が保証されるため、空室リスクをゼロにできます。入居者募集・管理業務・クレーム対応もすべてサブリース会社が担当するため、オーナーの負担が大幅に軽減されます。特にシェアハウスや社宅として活用するサブリース会社であれば、築古物件や立地に課題がある物件でも対応できるケースがあります。
EDITOR’S REPORT
管理会社10社に聞いた「本当に効果があった空室対策」と「コスパが悪い対策」
① 家賃値下げは最後の手段、先にやるべきことがある
管理会社への取材では、家賃を下げる前に「写真の質を上げる」「募集文を書き直す」だけで申し込みが入ったケースが多数報告されました。家賃値下げは一度下げると戻しにくく、長期的な収益に影響します。まず「見せ方」を改善することを優先してください。
② フリーレント1ヶ月は家賃値下げより効果的
入居者心理として「初期費用を抑えたい」ニーズは強く、家賃5,000円値下げより「フリーレント1ヶ月」のほうが申し込みが増える傾向があります。オーナーの実質負担は同程度でも、入居者の「得した感」が大きくなるためです。
③ ペット可・楽器可は諸刃の剣
ペット可にすることで問い合わせ数が増える一方、退去後の原状回復費が通常の3〜5倍になるケースがある点を把握しておく必要があります。ペット敷金の追加設定や退去時の修繕範囲を契約書に明記しないと後からトラブルになることが多いです。
📌 編集部の結論
空室対策は「家賃を下げる」より「入居者に選ばれる物件にする」が正解です。写真・募集条件・管理会社の見直しを先に行い、それでも改善しない場合に賃料調整を検討する順番がおすすめです。
やってはいけない空室対策

効果を焦るあまり、逆効果になる対策もあります。注意すべき点を確認しておきましょう。
賃料を安易に下げる
一度下げた賃料を上げることは容易ではなく、建物は年数を重ねれば修理・修繕にかかる費用も増えていきます。賃料の値下げは必要以上に行わず、最終手段として検討してください。
原因を分析せずにリフォームする
高額なリフォームをしても、空室の原因が賃料や募集方法にある場合は効果が出ません。まず原因を特定してから投資判断をすることが重要です。
1社だけに任せきりにする
管理会社や仲介会社が十分に動いているかを定期的に確認しましょう。長年同じ会社に任せているケースでは、切り替えにより空室が解消した事例も多くあります。
空室対策の優先順位まとめ
| 優先度 | 対策 | コスト | 即効性 |
|---|---|---|---|
| ① | 共用部の清掃・美化 | ほぼゼロ | 高 |
| ② | 物件写真・掲載情報の見直し | 低 | 高 |
| ③ | 募集窓口を複数社に広げる | 低 | 高 |
| ④ | 入居条件の緩和 | ゼロ | 中 |
| ⑤ | フリーレント・初期費用の見直し | 中 | 中 |
| ⑥ | インターネット無料・宅配ボックス | 中 | 中 |
| ⑦ | セキュリティ設備の強化 | 中 | 中 |
| ⑧ | ターゲットを絞ったリフォーム | 中〜高 | 中 |
| ⑨ | コンセプト型物件への転換 | 中〜高 | 低 |
| ⑩ | サブリースへの切り替え | 低 | 高 |
よくある質問(FAQ)
Q. 空室対策はどこから始めればいいですか?
まずコストゼロでできる「共用部の清掃」「掲載写真の見直し」「募集窓口の拡大」から始めましょう。これだけで改善するケースも多くあります。
Q. リフォームすれば必ず空室は埋まりますか?
リフォームは空室対策として有効ですが、費用対効果を必ず計算してから実施してください。空室の原因が設備以外にある場合は、リフォームしても効果が出ないことがあります。
Q. 賃料を下げるのは最終手段ですか?
はい。一度下げた賃料を戻すのは非常に難しく、長期的な収益に影響します。まずは他の対策を試してから、それでも改善しない場合の最終手段として検討してください。
Q. サブリースに変更すると収益は下がりますか?
サブリースは市場賃料の80〜90%程度の賃料になりますが、空室リスクがなくなり毎月安定した収入が得られます。空室が続いている状況と比較すれば、サブリースの方がトータルの収益が高くなるケースも多くあります。
まとめ
アパートの空室対策は、原因の特定→コストゼロの対策→費用をかけた対策の順番で進めるのが基本です。
- まず空室の原因(募集・設備・賃料・管理)を特定する
- 共用部の清掃・写真の見直し・募集窓口拡大はコストゼロで始められる
- インターネット無料・宅配ボックス・セキュリティ強化は費用対効果が高い
- 賃料の値下げは最終手段。安易に下げない
- 対策を試みても改善しない場合はサブリースへの切り替えも有力な選択肢
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